一本の木の物語

31年前の1989年に上演されて以来、幻の舞踏作品として待望された貴重映像を全編収録し初公開いたします。舞台の一点に落ちて芽生えた一粒の種、そこに健気にも凛々しく生い育つ一本の木の物語。友惠しづねの鐘美のギター曲が流れるなか、躍り手達の体は命と自然の慈しみを豊かに溢れさせています。

作 音楽 振付 演出 美術 衣装 照明 音響:友惠しづね
出演:天乃うずみ 芦川羊子 友惠しづねと白桃房
●本編:95分
●言語:英語/日本語

※ライブの臨場感を重視するためにゲネプロではなく、客席からの本番映像ですので初めの数分間は暗いです。ご了承ください。

*It’s dark for the first few minutes because it’s a live video from the audience, not Genepro to emphasize the realism of the live performance.

Work, music, choreography, direction, sets, costumes, lighting, sound: TOMOE SHIZUNE Performers: Amano Uzumi, Ashikawa Yoko, TOMOE SHIZUNE & HAKUTOBO

A seed falls somewhere on the stage and sprouts. There it bravely grows into a tree. Amid the sounds of TOMOE SHIZUNE’S exquisitely beautiful guitar piece, The dancers’ bodies overflow with life and love of nature.

 

利賀フェスティバル公演評  朝日新聞

「息づく生命 いとしさじわり」 「温かな感触の、美しい舞台だった。時の流れの中に立つ、老いた木と、若い木の、誕生、生長、死、再生が、表現される。背景の壁は樹皮を思わせる微妙な色合い。破れた布を重ね合わせた衣装も、森の中から選び出したようなやさしい色で、しなやかに演者を包んでいる。柔らかな日差しの中で伸びやかに育つ若木。容赦なく襲うあらしに倒れる老木。自然の中に息づく生命のいとしさが、胸にじわりと広がる。演じられる場と、舞がぴたりと合い、劇場は不思議な小宇宙になった。舞台が作りだす空気を呼吸するうちに、見る者の心も異空間を漂っていた。」

 

プレビューセレクション 立木燁子

「この舞踏は二本の樹の姿に託して、生成、死、そして再生という生きとし生けるものの生命の時間が描かれている。樹々や花々、動物達が登場、踊り手達はこうした自然界に息づく生命を繊細な動きで丁寧に心をこめて表現していく。陽の光に喜び、風雨に耐え、生命を燃やしていく生きもの達の姿が感動を呼ぶ心優しき舞踏である。宇受美が大木の豊かさと優しさを、芦川羊子が嵐に倒れていく老木の姿を印象的に演じている。土方亡き後、現在友惠しづねを中心に創作に打ち込む白桃房の舞踏の中に、土方舞踏を継承しつつも、新しくより普遍性を持った形で発表し始めた舞踏の可能性を見る思いがする。」